はじめに
本記事はCFP試験整理用として、2024第1回・問9B (居住無制限・非居住無制限納税義務者の課税価格)をまとめたものです。
国際要素がある相続での課税区分の判定と3年以内贈与の加算、債務・葬式費用の控除を確認し、最後に長男・二男の課税価格を計算します。🧮📖
本文の前提(要点)
- 相続人が日本国内に住所を有するときは居住無制限納税義務者として、国内外すべての相続財産が課税対象(相続税法第1条の3第1項第1号、同法第13条第1項)。
- 非居住無制限納税義務者でも、相続開始前10年以内に国内住所の有無等で判定し、要件に該当すれば全世界財産課税となる(同法第1条の3第1項第2号)。
- 相続開始前3年以内の贈与財産は、原則として贈与時の相続税評価額を課税価格に加算(同法第19条・基本通達)。ただし、贈与時に贈与税の課税価格へ算入されなかったケースは加算対象外となることがある(基本通達19-4の趣旨)。
- 債務控除・葬式費用は、相続人が負担した額のうち相当額を控除できる(相続税法第13条第1項ほか)。
- 本問の与件では、各人が取得した財産・負担した債務等および生前贈与の明細が与えられているため、区分判定→財産合算→債務・葬式費用控除→贈与加算の順で計算する。✨
納税義務者区分 判定早見表
| 納税義務者区分 | 日本国籍 | 相続開始時の日本住所 | 過去10年以内の日本住所 | 課税範囲 | ひとことイメージ |
|---|---|---|---|---|---|
| 居住無制限納税義務者 | 有/無 どちらでも可 | あり | 不問 | 全世界財産 | 日本在住者の原則 |
| 非居住無制限納税義務者 | あり(日本人) | なし | あり | 全世界財産 | 海外居住の日本人(10年内に住所あり) |
| 居住制限納税義務者 | なし(外国人) | あり | なし | 国内財産のみ | 日本在住の新規来日等 |
| 非居住制限納税義務者 | なし(外国人) | なし | なし | 国内財産のみ | 海外居住の外国人 |
結論
本問の答えは 選択肢1。
長男(ア)=78,500千円、二男(イ)=37,200千円 が相続税の課税価格です。🎯✅
計算手順
① 長男の課税価格(居住無制限) 📝
- 区分判定:相続開始時に日本国内に住所 → 居住無制限納税義務者。全財産課税。
- 3年以内贈与の加算:2022年5月のMC銀行(本店X国)本店の定期預金は贈与税の課税価格に算入済みの贈与であり、1,500千円(贈与時評価)を加算。
<明細の合計>
- 愛知県所在の土地・建物:70,000千円
- MC銀行(本店X国)本店の普通預金:8,000千円
- 葬式費用(長男負担分):▲1,000千円
- 相続開始前3年以内の贈与加算(定期預金):1,500千円
▶ 合計:70,000 + 8,000 − 1,000 + 1,500 = 78,500千円
② 二男の課税価格(居住無制限) 📝
- 区分判定:相続開始時は国外居住だが、相続開始前10年以内に国内住所あり → 非居住無制限納税義務者に該当。全財産課税。
- 3年以内贈与の取扱い:
・2021年10月のME社株式(本社X国・上場)は、贈与時に非居住制限納税義務者として贈与税の課税価格に算入されていないため、本問では加算しない整理。
・2023年6月のMF社(本社X国)社債は、贈与時に居住無制限納税義務者として贈与税の課税価格に算入されているため、1,200千円(贈与時評価)を加算。
<明細の合計>
- X国所在の賃貸不動産:43,000千円
- MD銀行(本店X国)本店の普通預金:16,000千円
- 葬式費用(二男負担分):▲1,000千円
- MD銀行(本店X国)本店からの借入金(当該賃貸不動産の借入):▲22,000千円
- 相続開始前3年以内の贈与加算(MF社社債):1,200千円
▶ 合計:43,000 + 16,000 − 1,000 − 22,000 + 1,200 = 37,200千円
ポイント
💡 ポイントまとめ
- 区分判定が最初の関門。居住無制限=全世界課税。
- 3年以内贈与は原則贈与時評価を加算。ただし贈与税の課税価格へ算入されなかった贈与は除外され得る。
- 国外資産の債務(借入金)も、要件を満たせば債務控除OK。
- 計算は財産合算→控除→贈与加算の順に。数字の単位は千円でそろえるとミス減少。🧩
- 本問の最終値:長男78,500千円/二男37,200千円。
出典元
日本FP協会「CFP資格審査試験 過去問題」
https://www.jafp.or.jp/aim/cfp/cfp_exam/mohan.shtml
※本記事はCFP試験整理用として過去問題をまとめたものです。
実務や最新の税法適用を保証するものではありません。実際の相続や税務については、必ず最新の法令や公的資料をご確認ください。
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