はじめに
本記事は CFP試験整理用 として、2024年度第1回・問1 設問H(相続の承認および放棄) をまとめたものです。
試験問題を通じて「承認・放棄のルール」の基本を整理し、最後にポイントをまとめます。
本文の前提(要点)
- 相続の承認・放棄は熟慮期間3か月以内に判断(民法915条)。
- 期間は家庭裁判所の申立てで伸長可能(915条1項ただし書)。
- 一度した承認・放棄は撤回不可(民法919条1項)。
- 熟慮期間中の処分行為=単純承認みなし(民法921条1項)。
ただし保存行為・短期賃貸借は除外。建物の短期賃貸借は「3年以内」(民法602条3号)。 - 相続人が判断せず死亡→その相続人は自分が相続開始を知った時から3か月以内に判断(民法916条)。
結論
最も適切なのは 選択肢3 です。🎯
各選択肢の解説
❌ 不適切(選択肢1)
相続の承認・放棄は一度すると撤回できない(民法919条1項)。熟慮期間内であっても撤回不可。
❌ 不適切(選択肢2)
被相続人の子が熟慮期間内に判断せず死亡したとき、その相続人は被相続人の死亡日からではなく、自己が相続開始を知った時から3か月以内に承認・放棄を決める(民法916条)。起算点の理解が誤り。
⭕ 正しい(選択肢3)
相続人の請求により、家庭裁判所は熟慮期間を伸長できる(民法915条1項ただし書)。本肢が正解!
❌ 不適切(選択肢4・修正済)
熟慮期間中に相続財産を処分すれば通常は単純承認みなし(民法921条1項)。
しかし例外として、保存行為・短期賃貸借はみなし単純承認とならない。建物の短期賃貸借は「3年以内」が基準(民法602条3号)。
したがって「熟慮期間中に建物を3年の賃貸に出したら単純承認になる」という記述は誤り。3年以内の賃貸なら単純承認にはならない。
ポイント

💡 ポイントまとめます
- 熟慮期間=3か月(起算点に注意:自己のために相続開始を知った時)。
- 期間は延長可(家裁申立て)。
- 撤回不可(承認・放棄ともに、原則やり直しはできない)。
- 処分=単純承認みなし、ただし保存行為・短期賃貸借(建物は3年以内)は例外。
- 相続人が判断前に死亡→次の相続人の起算点は自分が知った時から(916条)。
出典元
日本FP協会「CFP資格審査試験 過去問題」
https://www.jafp.or.jp/aim/cfp/cfp_exam/mohan.shtml
※本記事はCFP試験整理用として過去問題をまとめたものです。
実務や最新の法令適用を保証するものではありません。実際の相続や税務については、必ず最新の法令や公的資料をご確認ください。
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